抄録
介護保険制度を題材に,公的対人サービス領域における「行政役割の変化」が現場のサービス供給活動を担う「NPO」(社会福祉法人やNPO法人)に与える影響を検討した.その結果,暫定的な結論として以下の点が導出された.
第1に,米国を中心に蓄積されている先行研究での知見と同様に,日本のサービス供給組織の問でも組織の同質化(organizational isomorphism)が進行しつつあると推察された.しかしその内実は異なり,欧米が非営利組織の商業化を基軸とするのに対し,日本では「行政の代替機関として経済効率的に標準化されたサービスを供給する」ことによる組織の同質化が進行していると考えられた.
第2に,日本の非営利のサービス供給組織の間にも商業的な要素が浸透しつつある様子がうかがわれた.商業化にともなって,米国で観察されたようなサービス供給組織の階層化が日本でも生じる可能性が示唆され,その折には日本のorganizational isomorphism も,サービス供給組織の商業化を基軸とする米国的なメカニズムに基づくものに変容すると予想された.そしてその影響は,現行の中央集権的な仕組みの正当性(legitimacy)にも及びかねないことが示唆された.
最後に,サービス供給組織と利用者の関係性は変容しつっあることが推察された.