福祉社会学研究
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2005 巻, 2 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 松村 直道, 藤村 正之
    2005 年2005 巻2 号 p. 7-11
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
  • 安立 清史
    2005 年2005 巻2 号 p. 12-32
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    福祉NPOが,福祉領域で果たす役割や機能を分析し,日本の介護保険や地域福祉を改革する潜在的な可能性を持つものであることを論じる.まずアメリカにおけるNPO研究の動向をサーベイし,ラルフ・クレーマーによるボランタリー組織の理論と分析枠組みを発展的に継承し,福祉NPOの機能を,先駆的機能(vanguard),改革/アドボカシー機能(improver/advocate),価値の擁護機能(value guardian),サービス提供機能(serviceprovision)の4つの側面から分析する.日本の介護系NPOでは,この4側面が機能していることを検証し,なぜ,介護系NPOではこのような先進的な機能が発揮できるのかを考察する.介護系NPOは,その形成過程において,地域の福祉ニーズに触発され,制度の枠の外側から自発的に形成されてきたものである.地域に根ざして,先駆的な活動を行えるのは,行政等の財源に依存する制度内存在ではなく,住民参加型在宅福祉サービスのように,必要に迫られた地域住民の支援と参加があったからである.そのようなボランタリーな活動が,NPO法と介護保険制度のもとで組織化され発展してきたのが日本の介護系NPOの特徴である.こうした福祉NPOの現状の持つ問題や課題とともに,福祉社会学としての調査研究課題についても論じて展望する.
  • 住民参加型在宅福祉サービス団体の組織特性
    宮垣 元
    2005 年2005 巻2 号 p. 33-50
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    本稿は,福祉NPOの組織特性を過去に行った調査から検討することで,福祉NPOへ社会学的に接近する上での分析枠組みの提示を試みたい,もっとも,福祉NPOと一口にいっても,それをどのように規定するかにより議論の方向性が大きく異なる.ここでは,主として住民参加型在宅福祉サービス団体を対象として過去に実施した3つの調査を振り返る.調査結果のポイントは,当該団体の利用者と提供者の多くが共に同一の地域住民,かつ同一の組織の参加者であり,時に双方が入れ替わる構造を持っという点,そうした構造を何らかの程度で有する組織が全体の約7割を占める点,そして参加者個人の側から見ても,利用者側の17.4%,提供者側の14.3%でそのような相互的な経験を有している点にある.こうした構造は,利用者・提供者間の情報の不確実性の解消につながり,福祉サービス利用において欠かせない「信頼」という観点からの有効性が考えられる.また,この相互性の組織特性という視点は,信頼の問題のみならず,組織とコミュニティの関係の問題地域社会のあり方やその歴史的経緯との関連,そして社会関係資本の問題など,福祉NPOという現象へ社会学の古くて新しい問題関心から接近する上での糸口となろう.
  • 須田 木綿子
    2005 年2005 巻2 号 p. 51-66
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    介護保険制度を題材に,公的対人サービス領域における「行政役割の変化」が現場のサービス供給活動を担う「NPO」(社会福祉法人やNPO法人)に与える影響を検討した.その結果,暫定的な結論として以下の点が導出された.
    第1に,米国を中心に蓄積されている先行研究での知見と同様に,日本のサービス供給組織の問でも組織の同質化(organizational isomorphism)が進行しつつあると推察された.しかしその内実は異なり,欧米が非営利組織の商業化を基軸とするのに対し,日本では「行政の代替機関として経済効率的に標準化されたサービスを供給する」ことによる組織の同質化が進行していると考えられた.
    第2に,日本の非営利のサービス供給組織の間にも商業的な要素が浸透しつつある様子がうかがわれた.商業化にともなって,米国で観察されたようなサービス供給組織の階層化が日本でも生じる可能性が示唆され,その折には日本のorganizational isomorphism も,サービス供給組織の商業化を基軸とする米国的なメカニズムに基づくものに変容すると予想された.そしてその影響は,現行の中央集権的な仕組みの正当性(legitimacy)にも及びかねないことが示唆された.
    最後に,サービス供給組織と利用者の関係性は変容しつっあることが推察された.
  • 白波瀬 佐和子
    2005 年2005 巻2 号 p. 69-71
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
  • 医療・介護サービス改革の検討を中心に
    河野 真
    2005 年2005 巻2 号 p. 72-90
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    本稿は,近年高齢者医療・介護サービス領域で繰り広げられている改革プログラムを観察することで,英国福祉国家の動態を捉えようとする.とりわけ,保守党から労働党へのパワーシフトが諸改革に与えた影響を,主として準市場アプローチとサービスの規制システムに焦点を当て検討することに注意を払った.第2節では準市場アプローチの定義を行い,同アプローチが導入された背景について論じている.第3節および第4節では保守党政権下の医療・介護政策の動向を準市場化の観点から観察し,改革プログラムに対する評価を試みた.第5節では労働党政権による改革プログラムについて検討し,前政権からの連続と断絶にっいて考察した.保守党政権によって導入された「分権化」を外装した規制システムは,民営化を促進し,サービスシステムに対する中央のコントロールを強めることに成功したが,サービスシステムを支えた準市場メカニズムは,サービスの効率性を高めることに大きな成果をあげた訳ではない.保守党が推進した新自由主義アプローチは,労働党によって参加型・連帯主義的アプローチへと転換が図られつつある.労働党は前政権の改革枠組みの多くを引き継いでいるが,同時にいくつか重要な変更を施している.「分権化」を外装した「集権的」システムは,強制から誘導へと規制のスタイルを代え,サービス「供給者」問競争は「自治体」問競争へ置き換えられたのである.
  • イタリアの研究動向から
    小谷 眞男
    2005 年2005 巻2 号 p. 91-105
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    本稿は,1990年代以降のイタリアにおける福祉政策研究の動向を,エスピン=アンデルセンの「福祉レジーム類型論」との関係で,3つの大きな流れに整理して紹介する.
    独自の4類型論(1993年)を構築した行政学者フェッレーラは,「福祉国家の南欧モデル」を模索した末,もうひとつの4類型論(1998年)を提案する.そこでは,イタリアないし南欧諸国に共通する特徴として,とくにクライエンテリズムが強調されている.家族社会学者サラチェーノとその後継者ナルディーニは,イタリアないし地中海諸国について「家族主義」という分析視点が重要であることを指摘し,ジェンダーと世代から構成される“親族連帯モデル”を比較史的に論証する.以上の諸研究は,互いに相補的な関係にあり,また国際的な研究動向とも密に連動している.これに対して,カトリック社会学者ドナーティらは,「補完性」の原理という教会の社会教説に即した多元的協働モデルの福祉社会論を構築し,イタリアの福祉政策や実践を多角的に点検する作業を精力的に進めている.
    総じて“国家性の欠如”という表現に集約される特質を有するイタリアの福祉が,比較福祉研究の素材としてどのような意味を持ちうるかについての若干の私見が,最後に示唆される
  • 廣瀬 真理子
    2005 年2005 巻2 号 p. 106-123
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,EUレベルでの社会政策が,これまで独自の文化や伝統にもとついて政策を展開してきたヨーロッパの福祉国家にどのような影響を与えているのかを,オランダの事例を通して検討することである.アムステルダム条約以降,とくに2000年に打ち出されたリスボン戦略をひとつの転換点として,EUレベルで,経済政策,社会政策,雇用政策の相互の連携が強調されるようになった.社会政策に焦点をあててみると,「貧困」や「社会的排除」を根絶するための具体的な手段として,雇用と労働市場政策を通した社会的統合がめざされている.北欧型と大陸型の要素を混合して発展をみたオランダの福祉国家においても,最近では,このEUリスボン戦略に歩調をあわせる方向で,(1)多様化する個人のライフコースにあわせた休業・所得補償制度の創設や,(2) 民営化等を通じた既存の社会保険制度の見直し,また,(3) ワークフェアを通じた社会的統合策などが進められている.しかしながら,これらの改革が,既存の制度との問で矛盾を生み出すことや,行き過ぎたワークフェア政策が,かえってマイナスの結果をもたらしかねないことなどの新たな問題も指摘されており,最近の就労と「個人化」を前提とした社会保障改革は容易には進んでいない.EU社会政策の枠組みと,自国の伝統との間でどのように妥協点を見出していくのか,今後のさらなる動向が注目される.
  • 政策・構想・研究
    株本 千鶴
    2005 年2005 巻2 号 p. 124-139
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    福祉政策や福祉国家論の研究対象国が先進諸国からアジア諸国に拡大している.1997年末に経済危機に見舞われた韓国を対象とする研究も増えてきている.研究の量が増加するにつれて,分析方法や理論的含意にたいして,精密さや多面的な視角が求められるようにもなってきた.本稿では,これらの研究に資することを念頭におきながら,対象を韓国に限定し,その社会福祉の動向について論ずる.
    本論における目的は,韓国における社会福祉の現状を政策,構想,研究の3つの側面から分析すること,そこから福祉社会学的な示唆を導き出すことである.まず政策については,その優先課題である人口高齢化と社会的格差の問題にたいする政策を検討した.っぎに構想については,金大中政権と慮武鉱政権における福祉政策上の理念である「生産的福祉」と「参与福祉」を比較分析し,その構想としての機能と可能性にっいて分析を試みた.政策と構想の現実からは,資本主義,民主主義,社会福祉をめぐる古典的な議論が展開されていることがわかる.そして人口高齢化や経済のグローバル化を背景とした近未来が想定される現在,この議論がより現実味を帯びて韓国社会全体に影響を及ぼし始めている.さいごに,研究に関しては,社会福祉研究のテーマと方法論の多様化,研究者の多層化について考察した.韓国における社会福祉学と他の学問分野との関係性は,日本の社会福祉学と福祉社会学の関係性を考えるうえで示唆的な意味をもつ.
  • 立岩 真也
    2005 年2005 巻2 号 p. 141-144
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
  • 土場 学
    2005 年2005 巻2 号 p. 145-148
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
  • 高野 和良
    2005 年2005 巻2 号 p. 149-153
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
  • 冷水 豊
    2005 年2005 巻2 号 p. 154-158
    発行日: 2005/05/31
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
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