1 TPa以下での炭素の安定相は、約10 GPa以下のグラファイトとそれ以上での立方晶ダイヤモンドの2種類であるが、準安定相として、グラファイト-立方晶ダイヤモンド相変態途中に出現する六方晶ダイヤモンド、衝撃回収試料中に存在するn-ダイヤモンドなどがある。本実験では、高配向性グラファイト(HOPG)にフェムト秒レーザー(波長800 nm、パルス幅120 fs、強度2x1015 W/cm2)を空気中で照射し、レーザー照射後のHOPGの結晶構造変化をXRDによって調べた。X線結晶構造解析はSPring-8のBL13XUにて斜入射X線回折法で行った。用いたX線の波長は1.000 Åである。HOPGのc軸に対して垂直にレーザー照射を行った試料のXRDパターンからは、グラファイト以外の結晶のピークは確認されなかった。一方、HOPGのc軸に平行にレーザー照射した試料のXRDパターンからは、グラファイト以外の結晶のピークが複数確認され、これは立方晶ダイヤモンド、六方晶ダイヤモンド、n-ダイヤモンドのいずれかである可能性が示された。発表では、新しく合成された結晶構造の同定結果とその合成機構を示す。