水道原水のエストロゲン様作用と塩素処理による変化に焦点を当て、水道原水と塩素処理水に ついてそのバイオアッセイを行うための適切な試料調製法について検討を行った。水中には塩素処理に よってエストロゲン様作用が増大する物質(主として天然有機物)と減少する物質(主として微量汚染 物質)があり、水道水のエストロゲン様作用にはこれらが混在している。本研究では、調製方法や添加 塩素濃度に依存して、エストロゲン様作用の増加・減少いずれも検出した例を示した。水道水を対象と した場合、本研究でとりあげた二つの方法(OASIS HLB 調製法、XAD7HP 調製法)を使い分ける必要 があり、例として清浄な湖沼水• 河川水、及び下水処理水の放流などを受けている都市河川水をとりあ げて、その考え方を示した。さらに、トリハロメタン問題との類似性の観点から、水道水のエストロゲ ン様作用低減化のためには、現在内分泌撹乱性が疑われると指摘されている微量汚染物質の除去に加え て、塩素接触前に、フミン物質を中心とする天然有機物の除去も重視すべきであることを指摘した。