配水管内の遊離塩素を減少させる要因のうち、配水管内面の塩素消費について室内実験により 調べた。その結果、モルタルライニングされた配水管の内面に由来する遊離塩素濃度の減少速度は零次 の速度式を適用して解析することが可能で、水温20℃を超えると著しく大きくなるとともに、水道水が 配水管内を流れる状態によっても変化することがわかった。さらに、配水管内の遊離塩素濃度の減少に ついて、水質に由来する減少と管内面による減少を含めた減少速度式を構築し、シミュレーションを行っ た結果、管径が300mm以下になると管内面の塩素消毒の寄与が増大して残留塩素濃度の減少が大きく なるため、小口径管を布設及び更新する場合に内面の塩素消費が小さい配水管を採用することが、給水 区域の残留塩素濃度を適正に制御する上で重要であることを示した。また、配水管の流量が定まってい る場合には、管径が大きいほど流達時の遊離塩素濃度が低くなると推定された。