将来にわたり水道サービスを持続可能なものにするために水道広域化が求められているが、必ずしもその進展は順調でないという調査結果も報告されている。本研究では、業務指標(PI)を用いた水道広域化による事業基盤強化効果の事後評価手法を提案し、その評価手法を用いて広域化による効果の発現状況を明らかにし、評価結果を横断的に分析することで効果発現に影響する条件について考察することを目的とした。提案した手法を適用して、実際に事業統合を行った5事例の評価を行った結果、垂直統合型、水平統合型、弱者救済型のいずれの事例においても一定の効果が発現したことが示された。さらに、評価結果を横断的に分析し考察した結果、事業統合によって給水人口規模が増加すると職員一人当たり給水収益が増加する傾向、浄水受水率が減少すると給水原価が低減する傾向を定量的に確認することができた。