抄録
水道水の臭気・味に対する反応・認知は個人の主観の影響が強く、水道利用者と水道局職員の間で認識や表現のギャップが生じやすい。本報告では、異臭味苦情内容に対して計量テキスト分析による解析を行い計量的な解析結果を考察することで、ギャップの解消に寄与することを示した。塩素臭苦情では「強い」「きつい」等の比較表現が用いられる割合が高いことや、消毒剤以外の原因物質に対しても大多数の利用者が塩素臭と誤認識することを示した。また、特定の原因物質に対して示す反応・認知には特徴があり、過去の異臭味事案における表現の傾向を分析することで、異臭味の原因物質・発生源を速やかに推定できることが示唆された。