抄録
横浜市水道局の道志川を水源とする浄水場の原水では、平成28年度からかび臭物質の2- メチルイソボルネオール(2-MIB)が検出され始め、平成30年7月に最大値54ng/L が検出された。河川での現地調査の結果から、2-MIB は水源の河床の石等に付着している糸状藍藻類が産生すると判断された。ここで、従来の単離・培養による調査方法では原因の糸状藍藻類のかび臭産生能の評価までに時間を要することから、進行中の浄水処理にも活用できる正確かつ迅速な調査方法が求められる。本研究では、河川の糸状藍藻類を対象に、「かび臭産生能の判定」と「かび臭産生種と非産生種の分類」の2つを目的とした遺伝子学的な試験方法を検討し、有用な結果を得たので報告する。