2022 年 91 巻 5 号 p. 2-11
平成24年に発生した利根川水系におけるホルムアルデヒドの事故を契機に、厚生労働省は平成27年3月、 通常の浄水処理により水質基準項目等を高い比率で生成する物質を「浄水処理対応困難物質」として位置付けた。 しかし、ホルムアルデヒド等を生成する「アルデヒド前駆体」は浄水処理対応困難物質以外にも存在する一方、 その分析法は定められていない。本研究では、アルデヒド前駆体23物質について一斉分析法を検討し、その分析 精度の評価を行った。その結果、一斉分析法の検討を行ったアルデヒド前駆体23物質のうち、19物質が厚生労働 省の示す妥当性評価ガイドラインの目標を満たし、精度よく定量できることを確認した。