山階鳥類学雑誌
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原著論文
日本に生息するクマタカの羽毛中の微量元素ならびに経年変化に関する研究
八十島 光子酒見 佳代浅井 茂樹原田 俊司池田 善郎服部 達也山岸 哲
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2010 年 41 巻 2 号 p. 153-169

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抄録
国内15道県で採集したクマタカ Spizaetus nipalensis orientalis の羽毛中11微量元素 (Pb, Cd, Cu, Zn, Ni, Cr, As, Mn, V, Se, Hg) とミトコンドリアDNAを測定した。DNA分析の結果,130検体中102検体が51個体に帰属することが判明した。羽毛より検出された微量元素(平均±SE)は,Pb 4.72±0.28 μg/g, Cd 0.20±0.02 μg/g, Cu 8.57±0.54 μg/g, Zn 44.9±2.0 μg/g, Ni 1.05±0.08 μg/g, Cr 0.74±0.06 μg/g, As 0.21±0.02 μg/g, Mn 19.2±2.3 μg/g, V 0.49±0.05 μg/g, Se 0.94±0.03 μg/g, Hg 5.74±0.47 μg/g であった。Hgについては地域に有意差があることがわかった。また,DNA解析結果を加味することで,個体として評価した結果,地域差よりも個体差が大きく,同一個体内でも羽毛部位による差があることがわかった。また,換羽順序に依存する水銀を指標とした結果,初列風切羽の換羽が初期に開始されることが伺われた。さらに,剥製検体の胸の羽毛を分析することにより,1980年代以降,クマタカにおけるCd濃度が増加したことが示唆された。
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© 2010 公益財団法人 山階鳥類研究所
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