抄録
2004年から2006年にかけて,沖縄島北部各地にて保護収容後に死亡,あるいは死体として回収されたヤンバルクイナGallirallus okinawae 計39個体について寄生虫学的調査を実施した。その結果,線虫3種(Heterakis isolonche, Strongyloides sp., Skrjabinoclava sp.), 吸虫2種(Glaphyrostomum sp., Tanaisia sp.), 条虫1種(属種不明)および鉤頭虫1種(Plagiorhynchus sp.)の計7種の寄生蠕虫類を得た。H. isolonche およびGlaphyrostomum sp. を除く5種は新宿主記録であった。Tanaisia sp. の寄生率はオスの方がメスに比べて高かった。H. isoloncheは結節性,肉芽腫性腸炎の原因となることが知られており,絶滅危惧種であるヤンバルクイナの保護管理上,今後寄生虫のモニタリングが必要であると考えられた。