山階鳥類研究所研究報告
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セキセイインコおよびウズラの飲水とアンギオテンシンII(AII)との関係
糟谷 洋子唐木田 丈夫大河原 雄児山口 賢一小林 英司
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1985 年 17 巻 1 号 p. 32-43

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抄録
1) セキセイインコを12L12Dで飼育すると,日中の飲水は少なく,消燈(19:00)の1時間前か1時間後に飲水のピークがある。ウズラでは点燈後(07:00)1時間にピークがみられる。
2) セキセイインコは夜間(0.1ルックス以下)でも飲水するが,ウズラは夜間飲水しない。
3) セキセイインコは前報(Gen.Comp.Comp.38,94,1979)と異なり,AIIの腹腔内注射に反応して飲水する。アンギオテンシンIIIは影響を与えない。ウズラも同様な反応を示す。
4) セキセイインコでは,血中のAIIの濃度と1日の飲水量とは平行しないが,ウズラでは平行関係がある。セキセイインコにSQ14225(AIをAIIに転換する酵素の阻害剤)を与え,血中のAIIを減少させるような処置をしても,飲水はほとんど影響を受けないが,ウズラに与えると完全に飲水は抑制される。これらの結果は,セキセイインコでは血中のAIIは,ふだんの飲水には関係がないことを示し,ウズラでは,ふだんの飲水に血中のAIIが関与していることを示す。すなわち乾燥地帯原産のセキセイインコでは,AIIによる飲水誘起機構が弱くなったか,あるいは全く失われてしまったのであろう。適応現象の一つと考えられる。
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