山階鳥類研究所研究報告
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森林性鳥類の群集構造解析
IV.繁殖期群集の林相別生息密度,種数および多様性
由井 正敏鈴木 祥悟
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1987 年 19 巻 1 号 p. 13-27

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抄録

1.全国190ヵ所の繁殖期のセンサスデータを用いて,19の林相タイプについて鳥類群集の生息密度,種数,多様度を明らかにした。
2.生息密度は基準条件下のラインセンサス1時間当りに記録される全種合計の個体数および15ha当りの全種合計の絶対密度を求あた。
3.種数は基準条件下のラインセンサス1時間で記録される種数,15haに実際に生息する種数,各林相タイプ別に日本全体で生息する種数を求めた。また切れた負の2項級数則を用いて,面積の違いによる種数の変化を推測した。
4.多様度指数はShannon-Weaver関数を用い各地のセンサスデータから直接計算したほか,基準条件下の1時間のラインセンサスで得られる値を推測した。
5.生息密度と種数には正の相関が見られた。生息密度および多様度指数は,林分階層多様度と相関を示した。
6.鳥類群集の豊富さは,主として林内の階層構造の複雑さと樹冠層の針広混交具合で決ってくると考えられたが,その他地理的,地形的位置,森林の連続性さらにはパッチネスなども関与していると思われた。
7.今回の結果の利用法や利用するに当ってのデータのとり方,基準化法を述べた。

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