抄録
関東平野東部の小貝川と桜川の流域において,1993年6月から8月の繁殖期にチュウサギ(Egretta intermedia)の採食地選択および食性について,調査を行った。チュウサギは魚類,甲殻類,昆虫類などを採食し,特に6月には魚類を主要な食物としていた。採食地の選択性は,各採食環境における索餌の容易さと餌の量に影響されていると考えられた。水深の深い河川や稲が密生した7,8月の稲田では,採食行動が困難であるため,チュウサギの利用はほとんど見られなかった。また,浅い土水路を持つ水田よりも,コンクリート水路やパイプライン化された水田の方が,チュウサギの個体数が少なくなる傾向が6月に認あられた。この理由として,コンクリート水路が,魚類などの水生生物の生息地として不適当である上,これらの生物による水路から田面への移動が困難であるためと考えられた。