山階鳥類研究所研究報告
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コジュリン高密度個体群のテリトリイ構造
中村 登流山岸 哲飯島 一良牛山 英彦
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1970 年 6 巻 1-2 号 p. 82-102_1

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抄録
1.霞ケ浦西岸におけるコジュリン(Emberiza yessoensis)の高密度個体群の調査である。
2.この高密度個体群の生活域は繁殖コロニーと,それをとりまく共同採食地とから成っている。繁殖コロニー内での密度は7.67羽/haであり,共同採食地を加えると1.48羽/haとなる。
3.繁殖コロニー内でのテリトリイは,2~3番いのグループの共同防衛地である。このグループは棲みつきの単位であり,囀鳴活動によってとりまかれており,中心部に営巣位置がかたまっている。単位内の各番いの間隔あけは直接のたたかいによっている。
4.共同採食地はコロニーは隣接しており,各個体は別々に営巣テリトリーから20~700mのところへ採食に行く。個体によって一定地域へ行き,棲みつき単位や番いのメンバーに関係はない。
5.共同採食地は広大な水田地帯内の農道の草地であり,繁殖コロニーはカモノハシ草原である。そのあり方はルーズなコロリーということができる。
6.採食地との接触部からコロニー内へ深く入るにつれてclutch size, brood size,卵重が減少する。採食地からはなれているテリトリーのものほど,遠くへ採食に行くために,コロニー内の栄養配分が不平等となるからである。
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