抄録
本研究は、国際会計基準のIAS 38(国際会計基準第38号)により資産計上された開発費の資産性を実証的に調査した。具体的には、EU主要自動車企業を対象とし、連結貸借対照表に無形資産の一部として資産計上されている開発費すなわち開発資産と、将来利益率の水準・将来利益率の不確実性との関係を検証するために実証分析を行った。さらに、連結損益計算書に費用として計上された研究開発費と将来利益率の水準・将来利益率の不確実性との関係についても検証を行っている。その結果から、開発資産は将来利益率の水準と正の関係があり、さらに将来利益率の不確実性を高めていないことが明らかになった。他方、研究開発費に関しては、将来利益率の水準に対してプラスの影響を及ぼしているが、その一方で将来利益率の不確実性を高める影響を及ぼしていることが示された。