2021 年 77 巻 2 号 p. 52-61
本研究では,我が国におけるインフラ・ストック効果計測の一事例として,高速道路整備による雇用創出効果および立地促進効果の推定を行う.具体的には,1996年から2014年の間に供用開始された高速道路インターチェンジが周辺地域の雇用や事業所の立地に及ぼす因果効果を差分の差分法を用いて推定する.その際,日本全国からランダムに抽出した地点の周辺地域を候補とし,傾向スコアマッチングを用いて対照群を選定する手法を提案する.実証分析を通じて,高速道路ストック効果の空間的波及構造を明らかにするとともに,代替的な従来手法との比較を通じて提案手法の有効性を示す.