化学と生物
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食事と運動による骨粗しょう症の予防
—大豆イソフラボンを中心に
石見 佳子
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2008 年 46 巻 12 号 p. 872-878

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抄録

骨粗しょう症は,骨強度の低下を特徴とし,骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患と定義されている(NIHコンセンサス会議).遺伝的要因ばかりでなく環境要因(生活習慣)にも影響を受けることから,骨粗しょう症は生活習慣病の一つといえる.骨量は20歳頃にピークを迎え,その後加齢によってホルモンバランスが崩れたり,ミネラルの吸収能や運動量が低下することによって減少する.女性はおよそ50歳前後で閉経を迎えるが,閉経後10年間はエストロゲンの分泌低下により急速に骨量が減少する.一生涯のうちに約半数の女性が骨量と骨質の低下により骨折しやすい状態に陥り,骨粗しょう症と診断される.骨粗しょう症の予防において重要なことは,若年期に最大骨量を高めておくことと閉経後の骨量減少を抑えることである.
アジアの女性は欧米人に比べ大腿骨頸部骨折の発症率が低いが,その理由の一つとして大豆製品の摂取量の違いがあげられている.大豆には様々な機能性成分が含まれているが,中でも弱いエストロゲン様作用を示すイソフラボンが骨の健康の維持に有効である可能性が示唆されている.本稿では骨粗しょう症の予防に有効な食習慣と運動に関して,特に大豆イソフラボンと運動の併用効果を中心に述べる.

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© 2008 by Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
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