2009 年 47 巻 1 号 p. 35-42
この2~3年の間に,たいへん多くの環境細菌株の全ゲノム配列が解読された.これら細菌群は,モデル細菌や病原細菌には認められない多種多様な生物機能を発揮しており,同一属環境細菌の複数株のゲノム構造を比較することで,各株が示す固有の生物現象の理解が容易になるとともに,属レベルでゲノムの構成原理が明らかになりつつある.環境細菌は各種難分解性化合物分解能に優れている一般的特徴を有するが,ここでは,分解能に関して万能選手とスペシャリストである2つの環境細菌のゲノムを紹介する.