2009 年 47 巻 10 号 p. 678-683
植物の枝分かれを制御する植物ホルモンは,主にオーキシンとサイトカイニンであると考えられてきた.ところが,「枝分かれ過剰突然変異体」の解析から,ストリゴラクトンと呼ばれる一群のテルペノイド化合物が,枝分かれを制御する第3のホルモンとして新たに同定され,現在注目を浴びている.ストリゴラクトンは,これまでストライガやオロバンキなどの根寄生雑草やアーバスキュラー菌根菌と呼ばれる共生菌が宿主植物の根を認識するための根圏シグナル物質として知られていた.ここでは,ストリゴラクトンの枝分かれ抑制作用の発見に至った経緯を紹介するとともに,ストリゴラクトンの生理機能を活かした応用の可能性について考察する.