2009 年 47 巻 11 号 p. 794-799
プロテインキナーゼC (PKC)はセリン・スレオニンキナーゼの一種で,動物には10種以上のアイソザイムが存在し,これらは細胞内の様々なシグナル伝達系に関与していることが知られている.真核微生物においては酵母 Saccharomyces cerevisiae においてその機能の研究が精力的に行なわれている.S. cerevisiae にはPKCをコードする遺伝子が1種しか存在せず,細胞壁の完全性維持機構 (cell wall integrity pathway) において中心的な役割を果たしていることが示されているが,その他にも核内における機能などが知られている(1).ここでは,近年,機能解析が行なわれ始めた糸状菌のPKCについて,菌類で最も解析の進んでいる S. cevevisiae のPKCとの機能の比較も含めて概説する.