化学と生物
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解説
微生物・植物由来の新規ニトリル分解・合成酵素の産業利用
浅野 泰久
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2014 年 52 巻 10 号 p. 651-658

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抄録

微生物や植物には,シアン代謝の酵素系「アルドキシム–ニトリル経路」が存在する.われわれは,微生物および植物において,アルドキシムやニトリルの代謝に関する種々の酵素を明らかにしてきた.微生物において,アルドキシム脱水酵素がニトリルの生合成にかかわることを示し,構造解析にも成功した.また,植物のヒドロキシニトリルリアーゼについては,広範な活性の探索および光学活性シアノヒドリン合成などへの利用研究を行った.キャッサバ(Manihot esculenta)由来のS-MeHNLについては,大腸菌での特異な可溶性発現の現象を発見し,そのメカニズムを推定した.本稿では,微生物および植物のシアン代謝経路の比較生化学研究を行い,それらに存在する酵素を巧みに用いて,有用物質合成に利用する研究の成果について解説する.

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© 2014 by Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
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