化学と生物
Online ISSN : 1883-6852
Print ISSN : 0453-073X
ISSN-L : 0453-073X
解説
ファイトケミカルがもつoff-target効果の意義
機能性と潜在的副作用の観点から
村上 明
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 53 巻 5 号 p. 305-312

詳細
抄録

ポリフェノールなどのファイトケミカル(phytochemical)は植物の二次代謝産物で多彩な生理機能性を示す化合物群である.近年,ケミカルバイオロジーを基盤とした研究手法の開発によって,これらの標的分子が多数,明らかにされ,作用機構に関する分子レベルの知見が集積されつつある.その一方で近年,私たちは,生体タンパク質に対して非特異的に結合するファイトケミカルの例を見いだし,さらにそれが機能性の発現に寄与するという,ユニークな現象を明らかにしつつある.特異的および非特異的な特性の両面から作用機序を解析することは,「そもそもファイトケミカルがなぜ機能性を示すのか?」という本質的な命題を解く鍵でもあり,また安全性を議論するうえでも重要であると考えている.

著者関連情報
© 2015 by Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
前の記事 次の記事
feedback
Top