2016 年 54 巻 5 号 p. 335-342
食物アレルギーの原因となる物質は,われわれが摂食する食品に広く含まれており,先進国を中心に食物アレルギーは増加している.食物アレルギーによる症状には生命を脅かすほど重篤な場合もあり,わが国でも社会的な問題として取り上げられる機会が増えた.したがって,医療従事者のみならず,日常的に食品に接する消費者や食品を取り扱う研究者にとっても,身近な話題として理解を深めることが望ましい.本稿では,主要な食物のアレルゲンと,食品の加工処理がアレルゲン性に及ぼす影響を中心に概説し,当研究グループにおけるβ-ラクトグロブリンの抗原改変に関する取り組みを一つの事例として紹介する.