2017 年 55 巻 10 号 p. 684-689
生命科学分野での細胞解析,有用物質生産分野での高産生株樹立,医療分野での細胞診断などにおいて,莫大な数の細胞ライブラリーから目的細胞を生きたまま1細胞単離することは非常に重要である.従来は,本目的のためにセルソーターが主に用いられてきたが,目的細胞存在率が極めて低いサンプル,再利用が必要な貴重サンプル,各種ストレスに対し脆弱なサンプルには不向きであり,また細胞性状の経時的変化に基づく選抜は不可能であった.本稿では,われわれが最近実用化した全自動1細胞解析単離装置(1細胞単離ロボット)の概略とともに,同ロボットにより初めて可能になった「1細胞育種コンセプト」に基づく細胞スクリーニングシステムについて紹介する.