化学と生物
Online ISSN : 1883-6852
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55 巻, 10 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
巻頭言
今日の話題
解説
  • 難治性皮膚疾患を調節する新しいリゾリン脂質の発見
    山本 圭
    2017 年 55 巻 10 号 p. 668-675
    発行日: 2017/09/20
    公開日: 2018/09/20
    ジャーナル フリー

    脂質は核酸・タンパク質・糖質と並ぶ生命活動に必須な生体物質であり,エネルギー源・細胞膜成分・シグナル物質として機能する一方で,その代謝系の破綻は多岐にわたる疾患と関連する.近年,質量分析計を用いた脂質分子の網羅的メタボローム分析(リピドミクス)が可能となり,遺伝子改変マウスの表現型の解析に導入することで,これまでの手法では観察できなかった微量脂質の発見が相次いでいる.本稿では,リン脂質代謝に着目したリピドミクス解析から明らかとなった乾癬や皮膚がんなどの難治性皮膚疾患を制御する新しいリゾリン脂質ついて紹介する.

  • イネの遺伝子を狙いどおりに改変
    雑賀 啓明, 土岐 精一
    2017 年 55 巻 10 号 p. 676-683
    発行日: 2017/09/20
    公開日: 2018/09/20
    ジャーナル フリー

    ゲノム編集は標的遺伝子を狙って改変することができる技術であり,新しい育種技術(New Plant Breeding Techniques)の一つに分類される.ゲノム編集技術は,人工制限酵素と呼ばれる,標的遺伝子を切断できるように人為的に設計したヌクレアーゼの研究開発が近年急速に進展したことにより,さまざまな生物種で広く利用されるようになった.図1に示すとおり,ゲノム編集技術は,標的変異(targeted mutagenesis)と標的組換え(gene targeting; GT)の2つの方法に大別される.OECDの報告書では,標的変異をSDN (site-directed nucleases)-1(報告書ではZFN-1と表記),GTによって1~数塩基の小さい変異が導入されるものをSDN-2, 遺伝子発現カセットなど大きな変異が導入されるものをSDN-3と分類している(1).本稿では,最も重要な穀物の一つであり,かつゲノム編集の論文が多数発表されているイネに焦点を絞り,ゲノム編集研究の現状と今後の見通しについて概説する.

  • 1細胞単離ロボットが拓く新しい細胞スクリーニング
    立松 健司, 黒田 俊一
    2017 年 55 巻 10 号 p. 684-689
    発行日: 2017/09/20
    公開日: 2018/09/20
    ジャーナル フリー

    生命科学分野での細胞解析,有用物質生産分野での高産生株樹立,医療分野での細胞診断などにおいて,莫大な数の細胞ライブラリーから目的細胞を生きたまま1細胞単離することは非常に重要である.従来は,本目的のためにセルソーターが主に用いられてきたが,目的細胞存在率が極めて低いサンプル,再利用が必要な貴重サンプル,各種ストレスに対し脆弱なサンプルには不向きであり,また細胞性状の経時的変化に基づく選抜は不可能であった.本稿では,われわれが最近実用化した全自動1細胞解析単離装置(1細胞単離ロボット)の概略とともに,同ロボットにより初めて可能になった「1細胞育種コンセプト」に基づく細胞スクリーニングシステムについて紹介する.

  • コリネ型細菌を利用した近年の化学品生産研究動向
    久保田 健, 乾 将行
    2017 年 55 巻 10 号 p. 690-698
    発行日: 2017/09/20
    公開日: 2018/09/20
    ジャーナル フリー

    コリネ型細菌を利用して生産できる化学品の多様性が広がっている.従来の主流はアミノ酸類だったが,その後,アルコール類,有機酸類の生産報告が増え,さらに近年では有機ジアミン類や,毒性が強いためこれまで微生物による生産は不可能と考えられてきた芳香族化合物までもが数十g/Lレベルで生産可能となっている.本稿ではコリネ型細菌を用いた化学品生産の事例を取り上げて解説する.

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