2017 年 55 巻 4 号 p. 242-248
ビフィズス菌は私たちの腸内環境を健全に保つうえで欠かすことができない腸内細菌であり,大腸に生息し私たちと共生関係を構築している.ビフィズス菌は,オリゴ糖だけではなく糖タンパク質や多糖を含めたさまざまな難消化性糖質を分解代謝することができる.近年,ビフィズス菌がもつユニークな糖質分解酵素群の発見により,糖タンパク質や多糖がプレバイオティクスとしてビフィズス菌を増やす仕組みが明らかになってきた.本稿では,ビフィズス菌がもつ糖タンパク質糖鎖の分解代謝システムを中心に,ビフィズス菌の糖質獲得戦略を解説する.