2017 年 55 巻 6 号 p. 406-411
多くの動物は,自らの子孫を残すためにさまざまな配偶戦略をもつ.たとえばオスに着目して考えると,オス間競争に勝利し,メスから配偶者として受け入れられる(配偶者選択される)必要があり,これらを単独に研究した例はこれまでに多く存在した.しかしながら,オス間競争とメスの配偶者選択との相互作用については,3個体に着目する難しさからか,不明な点が多く残されている.本稿では,分子遺伝学的手法を利用可能なメダカを用い,オス,オス,メスの三者関係によって誘起される配偶者防衛行動に着目することで,オス間競争とメスの配偶者選択との相互作用の一部について明らかになったことを紹介したい.