2018 年 56 巻 2 号 p. 104-110
サイクリックGMP(guanosine 3′,5′-cyclic monophosphate; cGMP)はサイクリックAMP(cAMP)とともに動物細胞の二次メッセンジャーとしてよく知られている環状ヌクレオチド(cyclic nucleoside monophosphate; cNMP)であるが,植物でも形態形成,ホルモン作用,ストレス応答などを仲介するシグナル分子として機能している.動物では,cGMPの合成,代謝,作用機構などが解明され,一酸化窒素(NO)の二次メッセンジャーとしてのcGMPの働きもよく理解されているが植物では不明な点が多い.本稿では,動物と対比しながら植物におけるcGMPの働きを概説する.なお,植物におけるcAMPの機能についても多くの研究報告があるが,ここではcGMPを中心に述べる.