2018 年 56 巻 3 号 p. 184-189
植物配糖体のアグリコンは,従来,不活性な生合成前駆体であると認識されてきた.今回,われわれは,哺乳類において強心配糖体アグリコン“ウアバゲニン”の生理活性を初めて見いだした.すなわち,ウアバゲニンはオキシステロール受容体LXR (Liver X Receptor) のリガンドとして,腎臓での上皮性ナトリウムチャネルの発現を抑制した.多様なLXR生理作用を選択的に制御するリガンドは,有用な創薬シーズとして期待される.このため,ウアバゲニンが重篤な副作用の脂肪肝を惹起せず,選択性の高いLXRリガンドであったことは,新たな医薬シーズの可能性を提示している.以上,本研究では,新規生理活性物質の探索における配糖体アグリコンの有用性について紹介する.