2018 年 56 巻 6 号 p. 432-437
グルコースなどの糖質は,加熱すると脱水縮合反応により多糖化することが古くから知られている(1).べっ甲飴や黒ビール等の食品中には,これら加熱工程で生成する多糖成分が存在する.当該反応は,酸とともに糖質を加熱して得られるポリデキストロースや難消化性デキストリンなどの水溶性食物繊維の生産に応用されている(2).筆者らは,活性炭が多糖化の触媒として機能することを新たに見いだし(図1),2014年に新規な食物繊維素材の難消化性グルカンを開発した(3).本稿では,活性炭による糖の脱水縮合反応の解析ならびにや難消化性グルカンの工業的な製法確立,食物繊維素材としての安全性評価および生理機能評価など難消化性グルカンの開発について紹介する.