化学と生物
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解説
Corynebacterium glutamicumを用いたタンパク質分泌生産系の開発
タンパク質受託発現サービス事業への展開
菊池 慶実松田 吉彦
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2018 年 56 巻 8 号 p. 528-534

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抄録

医薬品や産業用酵素として利用されているタンパク質は,全世界で約20兆円程度の市場を有しており,その市場は年々伸びている.また産業用途のみならず,研究用試薬やタンパク質構造解析などの基礎研究のために必要とされるタンパク質も多く存在している.そのような背景のため,タンパク質を効率良く発現・生産する手段は,私たち人類のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を向上させるために必要と考えられ,これまでには,大腸菌,バチルス属細菌,その他細菌,カビ,酵母,動物細胞,in vitroタンパク質翻訳系,さらには動物個体を利用した,多くのタンパク質発現・生産系が開発されてきた.しかしながら,あらゆるタンパク質を効率良く発現・生産できるような万能のタンパク質発現・生産系はこれまでに存在しておらず,効率的に発現・生産することができないタンパク質が,いまだ多く存在しているのが現状となっている.われわれは,このような問題を少しでも解決し,産業,科学の発展,そして人々のQOL向上に少しでも貢献できるような,新たなタンパク質発現・生産系の開発を行ってきた.

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© 2018 公益社団法人日本農芸化学会
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