化学と生物
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解説
小胞体ストレスセンサーIRE1αによるプロインスリンの酸化的折り畳みの制御機構
プロインスリンの折り畳みには5種類のジスルフィド結合形成酵素の共同作業が必要
土屋 雄一河野 憲二
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2019 年 57 巻 3 号 p. 161-166

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抄録

インスリンは,血糖値の上昇に応じて血中へと分泌され,糖の取り込みと糖代謝を促す重要なホルモンで膵臓ランゲルハンス島のβ細胞で合成される.インスリンの分泌や合成が低下すると,高血糖が持続する糖尿病を発症することが知られている.したがって,膵臓β細胞で,インスリン合成がどのように行われ,生理的にどのように正確に制御されているのかを理解することは,インスリン合成の観点からだけでなく,糖尿病の予防および治療の観点からも非常に重要である.インスリン前駆体のプロインスリンは,小胞体と呼ばれる細胞小器官で合成され,3つのジスルフィド結合形成を介して酸化的に正しく折り畳まれる.これまで,プロインスリンの折り畳み酵素やそれらの酵素群の発現制御の機構は未解明のままであった.今回,私たちは遺伝子改変マウスと膵臓由来β培養細胞の解析により,小胞体ストレスセンサーIRE1αが膵臓β細胞で5つの酵素遺伝子を転写誘導することで,プロインスリンの折り畳みを促進していることを見いだした(1)

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© 2019 公益社団法人日本農芸化学会
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