化学と生物
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解説
カチオン性蛍光高分子による細胞内温度計測—開発経緯—
実用性と汎用性を兼ね備えた分子サイズの温度計の開発
辻 俊一
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2019 年 57 巻 7 号 p. 433-439

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抄録

細胞内の温度計測が,最近の化学・生物系論文の“Hot topics”として扱われることが増えてきた.細胞内というミクロで複雑な環境の温度を測定することは難しいが,10年ほど前に温度応答性のアクリルアミド系高分子と環境応答性蛍光色素を組み合わせた蛍光高分子温度計による細胞内の温度計測例が報告されて,そこから急速に技術が発展してきた感がある.筆者は,従来から高い感度が特徴であったこの蛍光高分子温度計に,カチオン性基を付与し,細胞への導入法を簡便化し,実用的にすることに取り組んできた.本稿では筆者が開発に携わった3つのカチオン性蛍光高分子温度計の開発経緯を紹介し,今後の展望についてもご紹介したい.

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© 2019 公益社団法人日本農芸化学会
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