化学と生物
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解説
慢性腎臓病発症に関する第2の「キノリン酸仮説」の提唱
腎線維化の発症メカニズムの解明と「腎」を守る機能性食品の創出を目指して
小林 謙一
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2020 年 58 巻 8 号 p. 469-476

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抄録

キノリン酸は,必須アミノ酸であるトリプトファンの中間代謝産物であり神経毒である.キノリン酸の脳内蓄積が,ハンチントン舞踏病などの神経変性疾患と関連するという「キノリン酸仮説」が提唱されてから40年が経つ.筆者らは,キノリン酸を体内に蓄積できる遺伝子改変マウスを用いた解析で,このマウスが腎線維化と腎性貧血様の症状を呈することを見いだした.これは,キノリン酸と慢性腎臓病とが関連するという第2の「キノリン酸仮説」といえる.本稿では,キノリン酸と慢性腎臓病とのかかわりについて解説するとともに,これらを踏まえて「腎」を守る機能性食品の創出が可能かどうかについて考えてみたい

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© 2020 公益社団法人日本農芸化学会
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