2023 年 61 巻 2 号 p. 78-84
食品の健康機能性研究は健康食品の開発に資するだけでなく,地域食材のPR材料としても一役買っている.筆者らは宮崎県独自の農産品ブルーベリー葉を健康食品素材として提案しているが,この研究では機能性発見に続いて,抽出,分離,精製をしながら機能性評価にフィードバックを繰り返すことで,特定の分子サイズのプロアントシアニジンが重要であることを示した(1).機能性発見から活性成分の特定という流れは,食品機能性研究においては一般的な戦略であり,解析が進むにつれ現象の理解は分子レベルでの思考になる.筆者らは食品機能性研究者として『食品は生物(せいぶつ)である』という視点に立ち戻ってみることにした.