化学と生物
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解説
環境調和型プロセスにより脱脂米糠から回収・精製されたアレルゲンフリータンパク質及びリン化合物の機能性食品原材料としての用途開発・市場導入に関する研究
国内産水稲からのタンパク質供給による持続的な稲作の可能性
渡辺 昌規
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2023 年 61 巻 4 号 p. 172-178

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抄録

現在,世界的な人口爆発,畜肉生産による環境への負荷,食糧安全保障の観点から,自国自給可能であり,食糧と競合しない非可食部由来の植物性タンパク質,リン供給が課題となっている.特に,本国のような輸入依存度の高い国では,より深刻な状況にある.本研究では,国内自給が可能なタンパク質含有未利用バイオマスである米糠(脱脂米糠)に着目し,同バイオマスからのタンパク質・リン成分の2成分同時回収・精製を可能にする環境調和型プロセスであるIP-EWT(等電点沈殿・電解水処理)法の開発及び本法により得られた“アレルゲン・GMOフリー米糠由来タンパク質”の代替肉への適用可能性について取り組んでいる.本技術の確立・事業化により,従来の白米を生産する稲作から,白米+タンパク質+リン成分の生産を可能にする収益性の高い稲作へのパラダイムシフトと持続的農業(稲作)の振興が期待される.

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© 2023 公益社団法人日本農芸化学会
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