抄録
7歳5歳3歳といった成長の節目に祝われる七五三は、現在子どもがいる家庭でさかんに祝われている幼児儀礼である。しかし、さかんに祝われていながら、現在のあり様や変遷、人々がこの儀礼に対して感じている意義についての研究は少なく、現状を把握するには不十分な状態である。
そこで本論では、これまでに自分自身の七五三、自分の子どもの七五三、孫の七五三を経験したことのある60歳以上の人を対象にインタビューを実施した。インタビューでは、各時期における七五三の祝い方や祝った時の思い、祝いの持つ意義について聞いた。本論では、立場の異なる時期の七五三を経験した人を対象とすることで、主に戦後から現在にいたる七五三の実態と意義の変遷を追うことを目的とした。
インタビューデータは、筆者の読み込みによる整理と分析とともに、テキストマイニングの分析ソフトKH Coderを利用し、計量的な分析を組み合わせた。これにより、広い視点に立った客観性の高い分析が可能になったと考えている。