抄録
本稿の目的は、日本マクドナルドのサラ・カサノバ女史のリーダーシップに焦点を当て分析することにある。同社は衛生上の問題を相次いで引き起こし、空前の逆境に陥ったけれども、サラ・カサノバ氏は短期間で赤字から脱しただけでなく、成長軌道にのせることまでやってのけた。彼女の経営者としての能力は極めて高いといえる。同氏のリーダーシップはビジョン型・参加型リーダーシップに分類される。リーダーはビジョンを掲げ、そのビジョンを実現するためには、社員が一丸となって行動しなければならない。そのためにはリーダーとメンバー間に「信頼」関係がなければならない。そして社員のやる気を引き出すことができるのが有能なリーダーである。サラ・カサノバ氏はビジョン型・参加型リーダーシップで社員のやる気を引き出し、少なくとも10年かかると言われたことを短期間で実現した。リーダーとしてなすべきことは、リーダーシップの発揮及び社員の「モチベーション」を上げるような環境の整備である。