開智国際大学紀要
Online ISSN : 2433-4618
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最新号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • ―モデルカリキュラムと認定プログラムに基づいて―
    符 儒徳
    2024 年 23 巻 p. 5-24
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    初級レベルの数理・データサイエンス・AIはデータサイエンスの素養として,2025年度までに全ての大学・高専生が身につけるべき「デジタル社会の基礎知識」であると言われている。本稿では,Googleトレンドにおける「数理・データサイエンス・AI」の検索数やJ-STAGEでのデータサイエンス関連論文数の推移などデータサイエンス関連の動向や現状を踏まえつつ,標準カリキュラムとされるモデルカリキュラムや,文部科学省が認定したデータサイエンス教育プログラムをもとに,文系の大学生向けデータサイエンス教育について,可視化や共起ネットワーク分析,先行事例など多角的な視点から考察する。とくに文系学部においてデータサイエンス教育を実現する上で考慮すべき課題を念頭において考察し,今後の展開についても言及する。
  • ―SDGsと学習内容の関係から―
    冨田 俊幸
    2024 年 23 巻 p. 25-32
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    2015年に採択されたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は,2016年から2030年の達成年に向けて行政,企業,市民とすべてのステークホルダーにおいて行動が図られている。学校教育においては,SDG4 の「質の高い教育」の実施はもちろんのこと17の目標の実現に向けての取り組みが求められている。また,SDG4「質の高い教育」の4.7にESD(Education for Sustainable Development:持続可能な開発のための教育)が記載されており,SDGs並びにESDの普及推進が求められている。その中で課題となっているのが小学校低学年におけるSDGsに関わる学習である。学校ではSDGsに該当するかを授業中に明示するようなことが多くの学校で取り入れられているが,低学年児童にとってはあまり意味をもたない。また,低学年の学習がどのSDGに対応しているかも明らかにされていない状況である。 そこで本稿は,SDGsと生活科の関係を調査分析することでSDGsの視点に立った生活科教育を解明に努めた。生活科の学習の中には,SDG5,7,10,11,15,17が該当していた。低学年児童にとってSDGsの対応を覚えることは重要ではないが,指導者である教員が生活科の学習がどのSDGsに関係があるかを念頭にして授業することは重要なことである。
  • ―インドネシアの対話構造と提案的発話の特徴に着目して―
    滝本 葉子
    2024 年 23 巻 p. 33-46
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    教育の質の改善が急務であるインドネシアでは,授業を協働的に省察し実践知を高める方略として授業研究が広く実践されている。本研究では,中学校3校で行われた授業研究協議会の対話構造を分析し,教師の学びを促進する要素と制約する要素を検討した。協議会談話を分析した結果,協力校の参加者間の対話構造は,司会者と教師との一対一のやり取り,問題の深堀りを行う司会者を起点とした累積的な対話,形式的でありつつもあるきっかけから相互作用的な学習を生起させる構造の3つに分かれることが把握された。学びを促進する要素は,他校教師の参加,授業者による問題点の開示,参加者に共通する日常的な課題,司会者による効果的な問いかけであった。一方,学びを制約する要素は,司会者の意見の専断性と形式的な進行方法であった。これにより,平等かつ対話的な学習環境の確保が教師の学びを深める鍵であることが示唆される。
  • ―学校統廃合問題の教材化を通して―
    竹内 裕一
    2024 年 23 巻 p. 47-58
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本稿は,地域問題の探究を軸とした社会科・地理教育カリキュラムの在り方を,農村地域における学校統廃合問題を事例に,具体的な授業実践の分析を通して検討することを目的としている。分析の対象としたのは,椎名彩香(千葉県横芝光町立光中学校)が取り組んだ地理的分野「関東地方」単元の授業実践である。生徒たちは,椎名実践が試みた地域問題(学校統廃合問題)の継続的な学習を通して,自らが生活する横芝光町に関する地域認識を深め,住民の一人としての意識を高めていった実態が明らかとなった。こうした学習を支えたのは,地域を相対化して認識する視点とさまざまな直接体験を通した地域の人々との交流であった。以上の分析結果から,本稿では地域問題の探究を軸とした社会科・地理教育カリキュラムの有効性とその実践可能性を明らかにすることができた。
  • 熊切 拓
    2024 年 23 巻 p. 59-70
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本論文では、アラビア語チュニス方言の等位接続詞 w-《そして、と》に後続する主題文(「w-主題文」と呼ぶ)が、語りにおいてどのような機能を持っているかについて記述を行った。語りにおける w-主題文の機能は、「事態の構造化」と「語りの構造化」の 2 種に分けられる。「事態の構造化」では w-主題文の述べる事態は、先行する文・句によって表される時間的枠組みの中に位置づけられる。「語りの構造化」では w-主題文は、先行する文脈に対してコメントや語りの締めくくりを示す機能を持つ。
  • ―子・母・祖母の立場で経験した七五三に関するインタビューから―
    田口 祐子
    2024 年 23 巻 p. 71-86
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    7歳5歳3歳といった成長の節目に祝われる七五三は、現在子どもがいる家庭でさかんに祝われている幼児儀礼である。しかし、さかんに祝われていながら、現在のあり様や変遷、人々がこの儀礼に対して感じている意義についての研究は少なく、現状を把握するには不十分な状態である。 そこで本論では、これまでに自分自身の七五三、自分の子どもの七五三、孫の七五三を経験したことのある60歳以上の人を対象にインタビューを実施した。インタビューでは、各時期における七五三の祝い方や祝った時の思い、祝いの持つ意義について聞いた。本論では、立場の異なる時期の七五三を経験した人を対象とすることで、主に戦後から現在にいたる七五三の実態と意義の変遷を追うことを目的とした。 インタビューデータは、筆者の読み込みによる整理と分析とともに、テキストマイニングの分析ソフトKH Coderを利用し、計量的な分析を組み合わせた。これにより、広い視点に立った客観性の高い分析が可能になったと考えている。
  • ―日本マクドナルドのサラ・カサノバ女史を取り上げる―
    続橋 孝行
    2024 年 23 巻 p. 87-98
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は、日本マクドナルドのサラ・カサノバ女史のリーダーシップに焦点を当て分析することにある。同社は衛生上の問題を相次いで引き起こし、空前の逆境に陥ったけれども、サラ・カサノバ氏は短期間で赤字から脱しただけでなく、成長軌道にのせることまでやってのけた。彼女の経営者としての能力は極めて高いといえる。同氏のリーダーシップはビジョン型・参加型リーダーシップに分類される。リーダーはビジョンを掲げ、そのビジョンを実現するためには、社員が一丸となって行動しなければならない。そのためにはリーダーとメンバー間に「信頼」関係がなければならない。そして社員のやる気を引き出すことができるのが有能なリーダーである。サラ・カサノバ氏はビジョン型・参加型リーダーシップで社員のやる気を引き出し、少なくとも10年かかると言われたことを短期間で実現した。リーダーとしてなすべきことは、リーダーシップの発揮及び社員の「モチベーション」を上げるような環境の整備である。
  • 内在的音声化
    田近 裕子
    2024 年 23 巻 p. 99-108
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    第二言語習得において、多読は語彙習得および読解力養成に効果的とされている。これに加えて、読解過程にリスニングによる音声入力を施すこと(RWLあるいはE-RWL)が、さらに効果的であるとする研究成果が多数報告されている。これらの成果報告を吟味すると、研究の場によって成果に幅があることが分かる。RWLにおいては、学習者は読解テクストから入力される内在的音声、あるいは内面における音声の入力情報を処理すると同時に、リスニングによる音声入力を処理しなければならず、このことが有効に作用する場合もあれば、不利に働く場合もある。学習者にとって、リスニングの音声入力の速度を調節できると、RWLを有効に活用することができる。また、リスニング力は内在的音声あるいは内面における音声を確立する基盤になるので、一層の重要性を持つと考えられる。
  • 得丸 智子
    2024 年 23 巻 p. 109-118
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    心理技法フォーカシングの創始者として知られているユージン・ジェンドリンは、生涯、哲学研究を継続し独自の言語論を展開した。その特徴は、言語には、使用者に共通の一般的意味(普遍的側面)を生じさせる側面と、使用者個人に個別的意味を生じさせる身体感覚的側面があるとし、後者を個人の身体に暗在する感覚であるとした点である(言語の二面性)。彼は、細胞、植物、動物を含む生命プロセスを身体と環境の相互作用であるとした上で、身体が生き続けるプロセスを、環境変化にともなう「不在」の「充足」であるとモデル化し、これを暗在的複雑性(インプライング)への生起と表現した。彼は、「言いたい感じ」から言葉が立ち上がる過程もその一環であるとした。さらに論理と暗在するものとの間で機能する「パターンそのもの」の概念を提唱し、「二重化」(三重化)をモデル化した。思考において論理と身体感覚的側面の相互作用を活用する重要性を説き、思考法TAE(Thinking At the Edge)を提案した。
  • 寺本 妙子
    2024 年 23 巻 p. 119-128
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,教職課程の学生を対象とした,特別な教育的ニーズに対する理解促進を目的とする教員養成プログラムを開発・実践し,その有効性について検討することを目的とした。本プログラムは6回の授業から構成され,各回は4ユニット(導入,講義,演習,総括)で構造化されていた。プログラムの事前・事後で,用語の理解と教師効力感に関する質問紙調査を行い,統計的分析を行った結果,理解している受講者の有意な増加,および,教師効力感得点の有意な上昇が確認された。これらの結果は,本プログラムの有効性を示唆するものであった。本プログラムの有効性の関連要因について考察し,本研究の限界と今後の課題について検討した。
  • IBDP Historyの学習方略の分析を通して
    山本 勝治
    2024 年 23 巻 p. 129-144
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    2018(平成30)年に告示された『高等学校学習指導要領』により、歴史の学びが従来とは大きく変わることになった。教員から教わったことを理解することが中心であった学習から、生徒自身が「主体的・対話的」に思考して深く探究する学習への転換である。資料等から読み取った情報に基づいて「問い」について探究する学習が行われるようになり、受け身な姿勢による暗記学習が中心の状況は改善されつつあるかと思われる。しかし、「主体的・対話的」な学習は行われるようになったとしても、はたして「深い学び」は実現しているのであろうか。 生徒が歴史的思考力を発揮して根拠を明確にしながら議論し、探究していく学習を実現するためには、「問い」のあり方が非常に重要になってくる。そこで本稿では、国際バカロレア(IB)のDP Historyにおける「問い」と学習方略について、『高等学校学習指導要領解説地理歴史編』に例示された「問い」と比較しながら分析を加えた。そして、「主体的・対話的で深い学び」を実現して歴史的思考力を培うような「問い」にはどのような特徴があるのかを明らかにした。
  • 符 儒徳
    2024 年 23 巻 p. 145-164
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    文系大学生を対象にしたAI(人工知能)リテラシー(含むコンピュータリテラシー)に関する調査を実施した結果について報告するのが本稿の目的である。AIリテラシーとコンピュータリテラシーの関係についても言及する。コンピュータリテラシーや,AI関連用語に関する結果はこれまでの先行結果と概ね整合している。また,パソコンの習熟度によってAIリテラシーに多少の差異が見られたが,パソコンを使いこなせる能力とAIについての理解力は必ずしも一致するわけではなかった。しかし,パソコンの習熟度が高くない学生は,AIリテラシーが高くなるにつれ該当する学生数はほぼ直線的に減少する傾向が見られた。対して,AIリテラシーが高い学生はパソコンの基本操作にも習熟している傾向にあることが示唆された。これより,生成AIの登場によりAIリテラシーの必要性がこれまで以上に高まっているなか,AIリテラシーの低い学生はAIリテラシー向上のための動機付けや教育が必要とされていることが示唆された。
  • ―「教育学概論」と「教職論」を事例として―
    森 透
    2024 年 23 巻 p. 165-174
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    大学における授業実践で重要な視点は、中教審答申(2018)「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」で強調された「学修者本位の教育への転換」であり、同じく中教審答申(2021)「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」のサブテーマでもある「個別最適な学び」と「協働的な学び」である。本稿では、筆者が2023年4月に本学に特任教授として着任し担当した1年生対象の2つの授業「教育学概論」と「教職論」の実践展開とその省察を論じる。「教育学概論」では窓ぎわのトットちゃんに共感しトモエ学園校長の小林宗作を理想的な教師像とする学生たちは、「教職論」ではいじめ問題をグループで調査探究し自身のいじめ体験も振り返り、いじめのない学校や社会を描く。将来教師を目指している学生たちは、入学後の初めての授業で教育学の専門科目と出会った。2つの授業を通して学生たちが将来の教師像をどのように描いたのかを明らかにしたい。
  • -極東情勢と欧州情勢の関連-
    清水 聡
    2024 年 23 巻 p. 175-182
    発行日: 2024/03/15
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
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