有明海奥部西側と諫早湾に発生する貧酸素水塊の動態を2007年,2013年および2014年の溶存酸素飽和度と密度の観測結果から考察した.その結果,有明海奥部西側と諫早湾は別々に成層化していることが確認された.また,諫早湾内と諫早湾湾口部外側の底層密度の比較から,諫早湾内で発生した貧酸素水塊は,湾口を通って有明海へ流出するときに,有明海底層の高密度水塊上部に移流・拡散することを示した.また数値モデルを用いた2007年夏季の解析結果から,潮受堤防の影響は,諫早湾湾口部や有明海奥部海域には表れず,成層度が変化しないことを示した.