高潮とその副振動で発生する東京湾表層の流れをHFレーダーによる観測データを用いて調べた.HFレーダーの観測が開始された2005年から2014年までに,晴海の潮位で50cmを超える高潮偏差は15個発生し,このうち10cm以上の副振動(周期6~7時間の副振動)が8個(53%)発生していた.HFレーダーで観測された湾表層流速を調和解析し,天文潮成分を差し引いた残差流速を求めたところ,残差流速は潮位よりも約2時間位相が早く,6~7時間周期の副振動の発生を検知できる可能性があること,また,当該副振動が減衰振動であるため非減衰な振動よりもさらに15~30分ほど位相が早くなっていることが明かとなった.