本研究では,青潮に対する知見が不足している岸壁に湧昇する青潮の実態や,青潮の発生起源を推定することを目的とし,船上調査と岸壁調査を組み合わせた観測を東京湾奥部で実施した.調査によって,8/27~9/3に発生した中規模の青潮を捉えられた.発生した青潮は8/26から連吹した北風によって青潮に至ったと推定された.千葉港と市川塩浜の岸壁に湧昇した青潮の起源は,千葉本航路内の水塊であった.浚渫航路の水塊は北風が連吹するにしたがって,より深い水深の水塊まで湧昇していた.また,青潮初期の濁質の半分程度は航路内中層に湧昇以前から蓄積していたものであり,時間経過とともに新たに生成した濁質が支配的になったと推定された.