2015 年 71 巻 2 号 p. I_13-I_18
数値波動水槽の導入に際しては計算コストを考慮した実用的な運用が求められるため,計算領域において制限を受けることとなる.そのため,実際の実験水路の再現には,解析領域に極力影響を及ぼさないための境界条件すなわち開放境界条件を設け,水路の延長部を擬似的に再現することが必要となる.一方,数値波動水槽の一つである粒子法では,計算粒子座標が常に変動することから,流入を含む開放境界条件の設定は,安定計算に必須な粒子の均等配列維持の観点から極めて困難であり,その開発が十分に進んでいないのが現状である.本研究では,高精度水表面境界条件モデル(SPP)と高精度壁面モデル(WP粒子)を用いて,設定水位を一定に保つことが可能な流入出開放境界条件モデルを新たに構築し,粒子法を用いた数値波動水槽の汎用性の向上を目指す.