2015 年 71 巻 2 号 p. I_1549-I_1554
本稿では比較的広域に亘って散在する施設群全体が保有する津波リスクを定量的に評価する手法を提案する.広域に亘って散在する施設群の各立地点での津波浸水深の評価手法として,エネルギー保存則による評価手法を採用することで,非線形長波方程式を用いた評価手法と比較して,計算コストの大幅な削減を可能とした.提案する津波リスクの定量評価手法は,自社施設等の資産を各地に複数所有する事業者や広域に亘って契約者が存在する銀行・損害保険会社等の金融機関が,リスクベースの経営判断を実施する際の有益な手法となり得る.