2015 年 71 巻 2 号 p. I_1585-I_1590
岩手県釜石市で設定された計画津波高の妥当性を客観的に評価するため,確率論的津波ハザード解析(PTHA)を実施した.日本海溝沿いに207の想定津波を設定し津波ハザード曲線を作成した結果,現在釜石地区で計画されている防潮堤高さ(TP+6.1m)は450年程度に1回の頻度で発生する津波と同程度の高さであることがわかった.数十年から百数十年に一回の頻度が設定されるレベル1の津波に対しては,現在計画されている計画津波高は頻度にして,数倍高く設定されているといえる.また津波ハザード曲線をもとに,複数のシナリオを考慮した津波危険度マップを作成した.この結果,津波避難の優先度が高い地域を視覚的に表すことができた.津波危危険度マップを利用することで,避難所の危険度ランクや防災施設の効果を評価することが可能となった.