2015 年 71 巻 2 号 p. I_1633-I_1638
学校における地震・津波避難訓練は,一般に授業時間帯での災害発生を想定して実施されることが多い.本稿では,宮城県亘理町の平成26年度総合防災訓練において,町内におけるすべての小・中学校の児童・生徒を対象にして,下校時の災害発生を想定し,地域住民と行政担当者と連携した実践的な全町一斉学校避難訓練手法の設計・実践を行った.その結果,1)中学生や小学校高学年は,避難・安否確認において地域で果たせる役割が大きいこと,2)学校の安否確認のスピードは,避難の「方法」ではなく,児童・生徒の人数の絶対数の多さに規定されること,3)今回の全町一斉学校避難訓練の準備と実践において,学校・地域・行政の事情・状況が相互にはじめて理解されはじめたことが明らかになった.