東北地方太平洋沖地震津波により破堤した堤防周囲の局所洗掘は,その深さや拡がりが大きく復興において高い障害となった.波による水底侵食の要因はせん断力による土砂移動と液状化である.前者は多くの津波研究で考慮されているが,後者について定量的な評価は行われていない.本研究では洗掘メカニズムの解明を目的にせん断移動と液状化を組み込んだ数値モデルを開発し,大きな津波被害の生じた破堤箇所周辺に実際に適用した.その結果,戻り流れ時に水位が低下し,開口部の堤防端で液状化現象が発生し,せん断力による最大洗掘深と比較して28%の深さまで液状化することが示された.これにより,地盤条件によっては津波の洗掘計算を実施する際,液状化現象も考慮する必要があることが明らかとなった.