抄録
地形改変に起因した水質劣化機構を明らかにするために,大阪湾沿岸の地形改変が港域スケール・湾灘スケールの水・物質循環に及ぼす影響について解析を行った.その結果,地形改変は湾奥部の高気圧性循環を弱化させることで貧酸素化を促進し,底泥からの栄養塩溶出量が増加することで低次生態系を通じて物質循環を変化させることがわかった.さらに,地形改変の影響は湾内の流動や水質にとどまらず,隣接海域の物質収支も大きく変化させ得ることが示された.また,大阪湾奥部では藻場の造成による直接的な水質改善効果は見込めないものと考えられた.