2016 年 72 巻 2 号 p. I_127-I_132
波候統計は多くの波浪の統計学的な特性を含む概念で,年間のすべての波の情報を取り扱うことが可能である.本研究は太平洋沿岸域の波候の統計学的な特性を目的として行ったもので,苫小牧から宮崎までの間で8観測地点を選び,各地における波候特性の検討とモデル化を試みたものである.太平洋沿岸域では台風の影響が特徴的で,通常時波浪とかなり異なる特性を持つ.ここでは通常時と台風時のそれぞれの特性を独立に検討してモデル化を行い,両者を加え合わせることで結果を得た.最後に10,000年分のモンテカルロシミュレーションを行って極値統計との比較を行い,再現年に対応する波高H1/3以上の波が当該再現年(50~100年程度)中に0.5~0.8時間程度出現することを示した.